algorithmical

g862007-08-27

USAから来宅していた友人が昨日帰りました。
その容姿のイカツサはまさにペアレンツアドヴァイザリー。
彼は今ボストンのバークリー音楽院でジャズを専攻しているのですが今回も東京にライブをしに来てました。
彼と僕が会ったのは中学三年の時の短期留学先のロスアンジェルス
それ以来年に一回くらい会っていて去年は新潟のライブハウスで一緒にエクスペリメンタルなライブもしました笑。今回も彼といろいろな話をしたのでちょっと書いてみます。

前の日記でも鎌谷氏が書いているのですが、音楽的な思考って建築の思考に輸入できたり、応用できたりすることがよくあります。

例えばアルゴリズムという言葉を最近の建築でも聞くようになりましたが、表現の生成のためにアルゴリズムを用い始め、それが成功したのは音楽の方が遥か先だと思います。autechreaphextwinあたりがその辺りのスーパースターと言えると思います。

建築でアルゴリズムが有効なのは表現のためというよりかは、第三者が参加できたりプロセスが透明になるというところでしょうか。ただ建築の場合は音楽よりも現実的、物理的な制約が大きいためまだ“アルゴリズム建築家”として大成功を収めたスターはいないような気がします。なぜなら大袈裟に言い切ってしまえば制約が大きいためというよりかは、やはりアルゴリズム設計は今はまだ“形式知”しか扱えないからだと思います。

でもアルゴリズムを用いないとしても、現時点において藤村龍至氏のように一つ一つ問題を処理するように“アルゴリズミカル”に設計をすることは非常に有効でしょう。それは問題の取捨選択や一個一個のスタディの過程に、暗黙知というか人間の持つ膨大な情報処理能力の結果を内包することが出来るからです。(例えば、道路側のエッジがダメだとか、ここのラインが揃っていてはダメだとか。こういった一挙にいろいろなことを解決できる建築的操作はアルゴリズムではまだまだ扱えないと思うが、人間なら一瞬で出来る。)

また話は戻るけれど、藤村龍至氏が発行しているRound about journalのvol.1で松川昌平氏は「機械言語を用いる設計は、機械が持つ単純性を暴力的に用いることによって、総体として複雑性を実現できる」と書いていたけど、やはり非常にautechre的というか音楽的な視点だと思います。形態の生成に関してはやはりアルゴリズム設計はある瞬間、人間の想像を超える臨界点のようなものあると思います。そういう意味で松川氏の関数空間とか傑作だと思います。http://www.000studio.com/main/works.php?id=6こういう建築が建築の領域を確実に広げてくれると思います。(余談だけど、最近のエレクトロニカというかコンピューターミュージックに興味がある人ならRyoji Ikedaを知っていると思いますが、その映像を作っているのは松川氏なんです。)また松川氏が他に手がけたヘアサロンなんかはアルゴリズムを用いているし、施主と直接会わなくてもアルゴリズミカルにやり取りが出来たりしてまだメタファー的ではあるけれど、かなり可能性がある手法だと思います。五十嵐淳氏が新建築の月評で松川氏のヘアサロンについて、設計者の意図がアルゴリズムに入ることをたしか批評していたけどそこはさっきの暗黙知の話じゃないけれど全然ポジティブに捉えていいと思います。

ここで、少し話しは変わるけど、もっと根本的に音楽と建築の構築的な部分は似ているなぁと良く思う。大学一年の頃から鎌谷氏とよく議論していたのは例えばジョンケージのずーっと無音の「4分33秒」なんか最近の建築家の思考に重なる部分も多いと思います。(これは舞台に演奏者がちゃんといるのですが「4分33秒」音を出しません笑。でも客席の物音や話し声などのノイズが適宜ヴァーチャルな楽譜の上にレイアウトされていくと見ればたしかに音楽的な気もしてきますね。)上に書いた建築家五十嵐淳氏の「矩形の森」という住宅作品がなかなか「4分33秒」的だなと思います。均等に柱が並ぶまさに列柱空間なのですが、部屋名は無くその列柱空間にベッドや机やイスなどのファーニチャーを好きなように配置できるようになっていてそれによりファーニチャーと柱の関係によって空間が偶然的に生成していくという感じ。強いグリッドがいかにもミース的というか西洋的ではあるけれど。
関係ないけど今、wikipediaジョン・ケージを調べたら建築家エルノゴールドフィンガーのもとで建築を学んでいたらしい笑。

都市には見えない経済やカルチャーetcのcodeがいくつもあってそこに建築が介入していくように設計されるべきだという議論がありますが、音楽にはまさにcode進行があってジャズやエクスペリメンタルやロックやポップスでもなんでも、最低限絶対にcodeは共有されていて創造されていきます。なんとなく構造は似ています。

結論まで書ききれません爆。
明日はモバイルコンテンツを作っている株式会社アクセルマークの社長に取材してきます!