『Classrooms of Alice』

あけましておめでとうございます。
今年もg86をよろしくお願いします。

早速ですが、
第35回日新工業建築設計コンペ
『地球学校』において
山道拓人(g86/東工大)+中村慶子(東京藝大)が大賞150万円を獲得!
新建築2009年1月号にて作品と審査員講評を見ることができます。
審査委員長
六鹿正治(日本設計代表取締役社長)
審査委員
青木 淳(青木淳建築計画事務所代表)
妹島和世慶応義塾大学教授)
藤本壮介藤本壮介建築設計事務所代表)
山本敏夫(鹿島建設常務執行役員・建築設計本部部長)
相臺公豊(日新工業株式会社社長)
『Classrooms of Alice』

渋谷に実際に家を100件建てました。
それらは天高5センチにも満たず、人間以外の都市の主体である小さな植物を大木のように堂々として見せたり、大草原に拡大したり、風景の一部にアポトーシスを起こすためのものである。
我々は植物の住処を地図にプロットし、生態系の広がりを位置づけると共に、それらを写真で記録し、それぞれの根付き方を分析することによって6つのタイポロジーを導きました。
プレゼンテーションには都市の植物の生態系地図とともに教科書(textbook of weeds)としてタイポロジーのデータベースを下部にレイアウトしました。

我々が目指したのはこのプレゼンテーションシートを持って再び街へ出てフィードバックすることによって‘地球学校’という教育の回路システムをデザインすること。
また、回路が作られることによって、今度は同じ形だった小さな家々がタイポロジーに合わせ高く伸びたり郡をなしたり屋根の形を変えたり、もしくは種を含む容器になったり、虫かごになったりetc、生態系の観察プロセスだったシステムが建築の形やプログラムを生成するシステムへと移行していくようなことを想像させる終わりの無い物語として『Classrooms of Alice』と名付けました。

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講評の中で青木淳さんは「現実の町の中に自然の小世界を発見するための、パフォーマンスというか、ワークショップの提案」と書かれており、六鹿正治さんには「小さな白い家は想像力こそが環境への感受性の源といっているように見える」と書いて頂き意図はしっかり伝わったようです。藤本壮介さんには「現代アート的な案であり、そして同時に爽やかで見事な案だった」と書いて頂くが表彰式の際に「建築は形をつくらなくてはいけないのではないか」と言われ、それは我々も懸念していたところです。山本敏夫さんには「小さな草を大きな自然に、小さなアリスの家を教室に見立てたメルヘン仕立ての案」と書いて頂きました。データベースを従えた現代のアリスは物語を書き換え再びデータベースに回収されコピーされていきます笑。妹島和世さんには「非常にかわいらしい知的な案」と書いて頂くが「知的すぎる」と言われてしまいました笑。

上述したこと以外に‘まっしろな図面’にいかに対抗するかというのも隠れたテーマで、自分たちの足で街を歩いて観察して議論して捉えた情報郡を濃縮したハードコアで作業の手あかを含んだ‘まっくろな図面’にしました。
自分にとってはスケッチとか思いつきとは異なるもっと発展可能性を含んだ新しい想像力というのの第一歩です。
でも、実はもともとこのプロジェクトはコンペとは関係無く進めていたもので、撮った写真は1000枚以上。
自分たちの枠組みがコンペで使えるんじゃないかと思い参加しました。

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これからも都市の中でももっと感動できるということを作品を通して表現していきたい。
審査員の方、関係者の方ありがとうございました

なお建築会館にて2月16日から20日まで展示されます。是非ご来場ください!