「86年世代の視点から建築的可能性をさぐる」

企画運営:東京工業大学建築学科3年 鎌谷 潤

                  小林 篤昌

                  山道 拓人

現在の「建築」は社会の表層における遊戯に過ぎない。

「建築」は建築家のための「建築」になっており、建築論はもはや「建築論」論となっている。

 建築家は社会学者等の分析を引用し、そして学生はその建築家の話を引用している。それは既に3次4次情報である。学生は、建築家や社会学者などの色眼鏡を通してしか、都市や社会を見ることができない。そのような解像度の低い視点で、都市の深層を掴むことができるのであろうか。そんな状況で我々は社会的意義のあるものを創造することができるのであろうか。 

活動内容

「東京にいて議論する」

そこで我々は86年世代なりの新たな手法で都市・東京の深層を明らかにしていく。

86年世代である我々は、情報社会への転換を身をもって経験し、10代から日々のコミュニケーションツールとして当たり前のようにネットや携帯を活用してきた。

そういった86年世代のもつコミュニケーションに対するポテンシャルの高さを活かした独自の手法を展開していく。

主にネット上で我々の活動を発信していく。

当面の活動は主にインタビューをし、その内容と共に論文のようなものを添えて発信していく。

インタビュイーは建築家はもちろん含まれるが、重きを置くのは他分野で東京において活躍し、よりマクロな視点で都市や空間、システムを実際に構築しているような人(プレス、ジャーナリスト、起業家、政治家、学者等)であり、領域を超え東京や建築に関する議論を行う。

そしてインタビュイーには毎回インタビュイー候補者を紹介してもらい数珠つなぎのように議論を連続させていく。インタビューで浮かび上がった主題を次のインタビュイーに投げかけたり、それ以前のインタビュイーにmailやweb上で再びインタビューしたりするなど、新たな議論の進め方を実践して行く。

その基盤となるフォーマットとしてまずは通常よく見られるようなサイトを構築しblog等で最新の情報を常に更新し、コンテンツが集積してきたら、書籍化を目指す。インターネット上の活動はフロー(どんどん更新され流れて行く)してしまうのでストックとして書籍化し定着させ、より幅広い層に発信していく。

そしてさらにコンテンツが集積したらwikiという形へ移行し、ネットワークを広げていく。

wikiとはウィキペディアを参照してもらうとわかりやすいが、自由参加型のサイトのようなものである。

wikiという形式を採用することで、我々だけでなく、第三者も参加できる状態を作り出し、より議論を発展させていくことを可能にする。

また、その時々に、我々の最新版のインタビューリサーチ等の情報をテーマとして与える。つまりインターネット上のヴァーチャルな会議のようなものを想像していただけるとわかりやすいと思う。

このように、本プロジェクトはリサーチ、書籍化、web、の三つの活動を、相乗的に作用させることで、都市の深層に接続した理論を構築していく試みである。