2008年度卒業設計「google planning city」

ご無沙汰してます。
卒業設計をupします。
東工大において優秀賞を頂いたものです。

google planning city
bignessは超えられるか。
郊外の再開発に対するオルタナティブの提案。
1人の設計者が設計しても都市的で複雑に、
100個のテナントが入っても空間性を失わない強度を持った空間を設計する。

敷地は二子玉川駅前の再開発地区。
資本の論理に誘導されてしまう既存の再開発の枠組みを組み替えることを試みる。
キーワードは[核店舗][小店舗][サンクンガーデン][大屋根][公開空地]etc

郊外の生活者にとってはヴァーチャルな都市空間として機能するはずの既存の再開発は実はグリッド状の希薄な商業空間やオフィス空間を作ってしまい街と縁を切ってしまう。
そこで‘集中’‘分散’‘ハイパーリンク’等、関係性を紡いでいくように既存の枠組みを組み替える事でより濃密な再開発の提案をする。
私が用意したのは4つの幾何学と枠組みの関係性。

複雑系や情報空間をヒントに
はじめから建築が幾何学と枠組みに関係性さえ与えておけば、あとはどのようなテナントが来ようが
空間性は保持されるという主張です。


鳥瞰


section perspective


site between bigness and smallness


一つ目の幾何学[樹状モール]、枠組みは[搬入と動線
通常の商業施設では線形の動線で店舗は並列配置で退屈。
都市はブロードウェイにY字路があってオフブロードウェイ、オフオフブロードウェイがあって文化が育つ。
渋谷やパリ、ニューヨークの路地空間を再開発に取り込み二子玉川の地へ根付く木の幹のようなモール。
地下にはスタッフのためのファシリティとバックヤードが広がり迅速なバックアップを可能にする。


backyard system 24時間スムーズな物資の移動を可能にする。


二つ目の幾何学は[放射状プラン],枠組みは[核店舗と小店舗]
通常の商業施設は核店舗(ジャスコシネコン東急ハンズタワレコetc)が端部を押さえ、その間を小店舗(ブランドショップ、スタバ、マックetc)がモールの間口を割るように並列配置。それをアーキテクチャーだと思うのはもう古い。‘集中’が起きる核店舗を中心に、小店舗を‘分散’し間口を共有。郊外型ショッピングセンターにありがちな大規模な‘裏’を無くし、全部を路面店に。壁が傾いているので歩いていくとショッピングのランドスケープが展開していく。


shopping mall 内部に入れば核店舗を中心に全部のテナントを一望出来る。


三つ目の幾何学[立体サンクンガーデン+大屋根]、枠組みは[上階の店舗]
日本の再開発にはいい広場が無い。入り隅の広場を立体的に作り、大屋根をかけることで、二階から上にも路面点とは違った付加価値を与えることができる。(例えば‘バスケットコート広場’を囲んでスポーツブランドが周りを占拠するなど)
また離れたビル同士が特定のプログラムを持った広場を共有する事で、ショッピングセンターから外へモノや人を溢れさせる。


sports park ビルとビルの狭間が外部の主体のプラットフォームとなる。


四つ目の幾何学四つ目の幾何学は[空中公開空地]枠組みは[オフィス郡]
高度が上昇すると視界が開けてくるのでオフィス棟の足下に全面開口を持った贅沢な共用スペースを取る、いわば空中公開空地。郊外の水平な風景や多摩川を全面的に取り込む。
また、高層棟を離して建て、開口で仮想境界面を共有する事で再開発に全体性を確保する。三角形の平面は奥行きが浅く、開口の間口が大きく郊外の水平性と連続する。


sky public meeting space 離れたオフィス棟同士を郊外の風景と連続的にネットワークする。


plans overlay


botanical garden with fireworks


botanical garden


shopping mall


facade


10万字におよぶディベロッパーや専門家との対談集も制作しました。

この作品や自分の研究を通してhttp://d.hatena.ne.jp/sandotakuto/20090116等、様々な展開をしていこうと思います。



丁度一ヶ月前にRem Koolhaas率いるOMAの太田佳代子氏にg86の作品群を英語でプレゼンする機会があった。
そこで徹底的に質問をぶつけられ徹底的に返答をした。
しかし「あなたたちは都市の活動を建築的に捉えてはいるが、あるラインで止まっているのではないか。そこを突破し、ネクストステージへ行くべき。」と言われた。
リベンジを誓い、挑んだ卒業設計。
僕の作品はレムやスティージョブズらヒーローへの挑戦でもあったし、先に公開した鎌谷も情報やテクストそのものというとてつもないものへと戦いを挑んでいて、
坂根は僕とは全く別の次元で圧倒的な想像力を発揮しまくっていたし、小林は超絶的なオフィスワーカーとしてリアルなものを提案していた。
ここからさらにどこまで思考を先鋭化できるか。
卒業設計が終わってからようやく人生が始まる気がしています笑。

また粘り強く模型制作を手伝ってくれたヘルパー達には感謝しています。
主にいろんな大学のキャラの濃い3年生が駆けつけてくれたので、来年いかに展開されるのかはやくも楽しみです。




おまけ 鎌谷のLa Biblioteca de Babelに隣接するgoogle planning city。両者の対比が浮き彫りになった卒業設計でした。笑
6月に展覧会やるのでお楽しみに。